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農業経験ゼロ、資金も販路もなし。それでも僕は農家になった

城 一翔

2019年新卒入社 独立研修生
京都府出身 / バイオサイエンス学部卒 / 2023年独立・滋賀県長浜市で就農

九条ねぎの魅力と支援制度が決め手に

独立を目指す中で「こと京都」の独立研修制度を知りました。九条ねぎという伝統野菜を手がけていること、栽培技術を一から学べることに加え、独立後も販路や機材の貸与など支援体制が整っている点が大きな決め手になりました。会社に勤めながら農業を基礎から学び、独立を目指せる環境があるというのは心強く、農業未経験だった自分にとって非常にありがたい制度でした。

未経験から体得した“農業体力”と栽培技術

大学時代は植物の研究をしていたものの、実際の農業経験はゼロ。研修の最初は本当に大変で、1年目は7キロ痩せるほどでした。それでも1年間収穫作業に取り組むうちに、体力や筋肉が自然とつき、仕事にも少しずつ慣れていきました。ねぎの定植から収穫、調整・出荷までを通じて一通りの技術を学び、悪天候時の対応や地域ごとの土壌の違いなども体験しました。4年にわたる研修を通して、多くの現場で得た知見が今の自分の支えになっています。

不安の連続を越えて、独立という一歩へ

独立にあたって最も不安だったのは、ゼロからのスタートで何も持っていなかったことです。移住先の長浜市には知人もおらず、土地や機材の確保から販路まで、すべてが未知の領域でした。実際に行動を起こす中で、役所や地域の調整、書類作成など、想像以上に多くの壁がありました。こと京都にも相談しながら、支援してもらえる部分はお願いし、できるだけの準備を進めましたが、不安は尽きませんでした。それでも覚悟を決めて一歩を踏み出しました。

独立後に直面した一番の課題は「お金」

独立後で最も苦労したのは、資金面でした。農業は初期投資が大きく、収穫してから収入になるまでにも時間がかかります。実績がない段階での融資も難しく、設備を整える中で資金はどんどん減っていきました。1年目は手探りで、2年目は天候不良、3年目でようやく安定した収入の見通しが立ってきたところです。継続することの大切さと、収入の流れをつくることの難しさを実感しました。最近ではようやく少しずつ販路を地域にも広げ始めています。今後は面積を広げ、より安定した出荷を目指しています。規模拡大だけでなく、地域に根ざした販売や、いずれは雇用も生み出せるような農業経営を実現したいと考えています。

聞きたいこと・
伝えたいこと

Q. 農業に興味を持ったきっかけ、農業で独立しようと思ったきっかけは何ですか?
高校時代に、高付加価値作物である宮崎マンゴーや夕張メロンなどが話題となっていたことに興味を持ちました。地域性のある作物に価値が付く仕組みが面白いと感じ、自分でもそうした作物を育ててみたいと考えるようになりました。さらに、自分の手で作ったものを消費者に直接届けられるという農業の魅力に惹かれ、将来的には独立して自分の農業を展開したいと強く思うようになりました。
Q. 農業経験はありましたか?
農業の実務経験はありませんでしたが、大学では植物の遺伝子研究をしており、種子の特性や成長の仕組みについては知識がありました。ただし、作物を実際に育てる実習や栽培の経験はほとんどありませんでした。
Q. こと京都で研修してよかったことは?
天候によるイレギュラーへの対応力を実践的に学べたことや、多様な地域の土壌・環境下での栽培経験を積めたことが、独立後の農業経営に大きく役立っています。失敗も含め、多くのリアルな経験が自信につながっています。
Q. 作目、就農地を教えてください。
滋賀県長浜市で九条ねぎを中心に栽培しています。加えて、一部では大根の栽培・販売も行っており、多角的な運営を目指しています。現在は約7反の圃場で栽培し、出荷量は年間10トン前後です。
Q. 独立を検討している方へのメッセージをお願いします。
農業での独立には多くの困難がありますが、諦めずに挑戦し続けることで周囲の人々や地域、そして会社からの支援が得られます。想定外の問題が起きても行動を積み重ねることで結果に結びつきます。強い意志を持って取り組むことが大切です。